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「オリジナルドラマシリーズ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』シリーズ」
杉山すぴ豊の洋画フィギュア論 vol.10
「オリジナルドラマシリーズ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』シリーズ」
2021.04.15
今回フィーチャーするのはファン待望、マーベル・スタジオによるオリジナルドラマシリーズ最新作『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』の主役2人です。魂ウェブ商店で期間限定受注が開始。商品はセット売りではないですがこれは2体同時に揃えたい!
気に入ったヒーロー映画やモンスター・ムービーのキャラを手元においておきたいという人は多いハズ。BANDAI SPIRITSのコレクターズアイテムブランド「TAMASHII NATIONS」さんの洋画フィギュアはまさにこうした願いをかなえてくれます。その魅力を映画ライターの視点で語っていきたいと思います。
3月19日からディズニープラスで世界同時配信がスタートしたマーベル・スタジオによるオリジナルドラマシリーズ最新作『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』。
映画ではなく連続ドラマ?それはYESでもありNOかもしれません。
MCUは今後、劇場で公開される映画とディズニープラス配信の連続ドラマは<同格>扱いとしており、本作は映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年)の後の両ヒーローの冒険を描くから、その続編とも言えます。またこのドラマで描かれたことが次の劇場映画等につながっていくとも思われます。そしてとにかく大掛かりなアクション・エンタテインメントに仕上がっており、劇場映画と比べても遜色のないスケール。長時間の映画といってもさしつかえないでしょう。
この2人はキャプテン・アメリカに関係するヒーローです。まずコミックの設定からお話しましょう。
ウィンター・ソルジャーことバッキー・バーンズは1941年の『キャプテン・アメリカ』のコミックスの1号でデビューしました。超人兵士キャプテン・アメリカの正体がスティーブ・ロジャースであることを偶然にも知ってしまい、以来キャプテン・アメリカの相棒(サイドキック)として第二次世界大戦を舞台に活躍します。師弟関係、弟分的存在でした。
しかしその後、戦闘中にバッキーは死んでしまう。以来、バッキーの死はキャプテン・アメリカの心の傷となります。1964年のアベンジャーズのコミックで氷の海でずっと仮死状態だったキャプテン・アメリカが発見されるというエピソードが描かれます。これによりキャプテン・アメリカは第二次世界大戦の英雄から現代のヒーローとして蘇ります。
そして1969年のキャプテン・アメリカのコミックにてサム(サミュエル)・ウィルソンことファルコンが登場。キャプテン・アメリカの新たな相棒になるのです。ファルコンが画期的だったのはアメコミ史上初のアフリカ系アメリカ人(つまり黒人)ヒーローだったことです。
黒人ヒーローという意味ではブラックパンサーが1966年デビューでこちらの方が早いのですが、ブラックパンサーはアフリカのワカンダ国の国王。アメリカ人ではありません。
僕はキャプテン・アメリカというアメリカのシンボルでかつ白人の男がかつては愛国少年バッキー、現代においては黒人のファルコンを相棒にする、というところにすごく時代の変化を感じて興味深いです。
僕がキャプテン・アメリカのコミックを知った時はファルコンと組んでいたのでバッキーの印象というのはあまりないのですが、その彼が衝撃的な形で復活します。
2005年から始まった「ウィンター・ソルジャー」というエピソードで、キャプテン・アメリカのトラウマとなっていた、死んだハズのバッキーは実は生きていた。しかもロシア(旧・ソ連)の暗殺者として。
戦死したと思われたバッキーは瀕死の重傷で息があった。しかし脳に傷を負い記憶喪失。さらに片腕を失っていた。バッキーに戦士の素質を感じたロシアは彼に人工アームを与え洗脳してすご腕の暗殺者、コード・ネーム“ウィンター・ソルジャー”に仕上げる。さらに任務が終了する度にその記憶を消して人工冬眠させる。これを繰り返していたのでバッキーも年を取らず生き延びてきたわけです。そしてついにキャプテン・アメリカの前に強敵として現れるわけです。後に彼はバッキーとしての記憶をとりもどしヒーロー側になるわけです。
MCU映画『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014年)はこうしたコミックの設定をいくつかとりいれた上で、MCU版ファルコンとウィンター・ソルジャーが誕生します。
興味深いのがファルコンはヒーローとして登場しますが、ウィンター・ソルジャーは敵役として登場することです。
※S.H.Figuarts 『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』シリーズのファルコンとバッキー(現在は受注終了)
そしてコミックではこの2人はキャプテン・アメリカの相棒ですが、映画ではキャプテン・アメリカと対等というかもっと独立したキャラクターとして描かれています。要は先にも書いたような相棒/サイドキック=師弟関係、兄貴分弟分的なものはありません。
個人的に映画『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』はMCUの中でも一番アクション描写が優れておりドラマとしての完成度が高い。だからファルコンもウィンター・ソルジャーも相当かっこよく、そしてしっかり描かれているのでファンがつきました。
この2人を主役にした作品が観たい、という声があがるのも当然で、今回の『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』につながるわけです。
S.H.Figuartsの方ですが、まず2人の顔が映画そっくり。各役を演じているアンソニー・マッキー、セバスチャン・スタンの表情を見事に再現しています。マスクとかしないヒーローだから役者さんの顔の再現度がポイント。見事に応えていますね。
ファルコンはとにかく翼!ケープ(マント)ではなく金属の人工翼です。翼を広げ、空を飛ぶシーンを楽しめるアクションフィギュアとなっています。
またレッドウィングという鳥型のドローンがついてくるのも嬉しい。このドローンは映像ならでは設定。コミックでは同名のハヤブサを連れているのです。
ドローンがファルコンの背中から展開するギミックも、パーツ差し替えによって再現しています。
いっぽうのウィンター・ソルジャーはやはり片腕だけが人工アームという1ポイントの異形感が魅力ですね。また今までのMCU版ウィンター・ソルジャーは長髪でしたが、このドラマ版からは短髪。短髪版のウィンター・ソルジャーのフィギュアというのはこれが初めてでは?
と、ここまで書いて「あれ?」と思われるかもしれません。というのも映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』でスティーブ・ロジャースことキャプテン・アメリカが引退し、サム/ファルコンとバッキー/ウィンター・ソルジャーにその後の世界を託します。この時スティーブが盾を渡すのは、つまりキャプテン・アメリカの座を譲り渡すのはサム/ファルコンでした。なのになぜファルコンにシールドが付属しない?
僕が感じている今回の『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』の最大の興味はまさにここなのです。
というのもコミックではファルコンとバッキー、どちらも“キャプテン・アメリカ”の名を襲名したことがあるのです!
従って『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』ではファルコンとウィンター・ソルジャーのどちらが最終的に、次のキャプテン・アメリカになるのか?(いやもしかすると2人もならない可能性もある)というドラマだと思います。
というわけで、ドラマがどんな結末を迎えても後悔しないように、フィギュアはセットで買うことをお薦めします(笑)
2人ならべてポスタービジュアルを再現しても楽しいですね!
Text: 杉山すぴ豊
※本記事は3月8日に作成された内容です。
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