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「S.H.Figuarts 『マンダロリアン』シリーズ」
杉山すぴ豊の洋画フィギュア論 vol.5
「S.H.Figuarts 『マンダロリアン』シリーズ」
2020.09.30
“アメキャラ系ライター”杉山すぴ豊氏が、独自の視点からシネトイ(洋画フィギュア)を語ります。
第5回は、10月2日プレミアムバンダイ内「魂ウェブ商店」で受注開始する「S.H.Figuarts アーマラー(STAR WARS:The Mandalorian)」や、10月1日にネットショップ・一般店頭他で予約がスタートする「S.H.Figuarts 重歩兵マンダロリアン(STAR WARS:The Mandalorian)」など、続々と展開中のS.H.Figuarts 『マンダロリアン』シリーズについてご紹介します。
気に入ったヒーロー映画やモンスター・ムービーのキャラを手元においておきたいという人は多いハズ。BANDAI SPIRITSのコレクターズアイテムブランド「TAMASHII NATIONS」さんの洋画フィギュアはまさにこうした願いをかなえてくれます。その魅力を映画ライターの視点で語っていきたいと思います。
今回はスター・ウォーズ・ファンを熱狂させたドラマ・シリーズ『マンダロリアン』から、新たに主人公を含む4キャラが待望のリリースです。
重歩兵マンダロリアンとアーマラーが加わり、充実のラインナップとなってきたS.H.Figuarts マンダロリアンシリーズ
『マンダロリアン』はスター・ウォーズ物ですが、映画ではありません。配信動画サービス、Disney+(ディズニープラス)用に作られた連続ドラマ・シリーズであり、昨年秋に(そして日本では冬に)は配信されました。映画『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』の公開も控えていて“スター・ウォーズ熱”がもりあがったタイミングでもあり、この『マンダロリアン』のリリースも大きな話題となりました。
スター・ウォーズは映画と映画の間をつなぐような外伝というかスピンオフをTVアニメ・シリーズで放送することは過去にいくつかありました。『スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ』『スター・ウォーズ 反乱者たち』がそれにあたります。
しかし実写ドラマでのスピンオフは本作が初めての試みでした。“スター・ウォーズ”の新しいビジネスの今後を占うという意味でも、ディズニーの配信動画サービスがどれだけのコンテンツを提供してくれるのかという意味でも、その先駆けとなる『マンダロリアン』は大変期待されていたわけですが、そうした想いに見事に応えてくれる、素晴らしい作品となりました。
まずこの作品について解説すると“マンダロリアン”とはスター・ウォーズの世界に存在する、伝説の戦闘部族を意味します。彼らはマンダロリアン・アーマーという鎧および武具、そして仮面(ヘルメット)に身を包み高度な戦闘術を身に付けています。本作はそんなマンダロリアンの一人である、通称“マンドー”が主人公。
時は映画『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』と『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の間の時代で、一応、悪の帝国軍の敗退しましたが、まだ銀河に完全に秩序は戻っておらず混乱がくすぶっています。
マンドーは賞金稼ぎとして生きていました。ある日、マンドーは“ザ・チャイルド”と呼ばれる不思議な子どもと出会います。ザ・チャイルドは帝国軍の残党たちに狙われる身。ザ・チャイルドに心惹かれるものを感じたマンドーは帝国軍と戦いその子を連れだします。かくしてマンドーとザ・チャイルドの逃避行が始まるのです。
基本的にはマンドーとザ・チャイルドが行く先々で事件に巻き込まれ、そこにザ・チャイルドを追う刺客たちが絡んでくる、というパターンです。そう、僕の中では、スター・ウォーズの世界観の中で『子連れ狼』的な物語をやってくれた!と(笑)
本作が成功したのは、ドラマとしてももちろん面白いからなんですが、このマンドーとザ・チャイルドのキャラのルックスにあると思っています。ズバリ、スター・ウォーズの中でも抜群の人気を誇る、ボバ・フェットとヨーダをベースにしているからです。
ボバ・フェットおよびその父ジャンゴ・フェットは映画版の方に登場します。彼らはそれこそマンダロリアン・アーマーを着ています。個人的にはダース・ベイダーと並ぶぐらいインパクトのあるキャラなのですが、映画版のメインストーリーであるスカイウォーカー家の物語にあまり関わる設定ではないのであくまでも脇役なのです。
しかし、そのかっこよさからファンの間で人気があり、彼らを主役にしたシリーズを作って欲しいとの声もあったわけです。いっぽう、ザ・チャイルドは、その正体はまだ明かされていないのですが、ヨーダを思い起させますよね。
そう『マンダロリアン』がうまいのは、みんなが大好きな「ボバ・フェットとヨーダという2大キャラを連想させるドラマ」でありながら「ボバ・フェットとヨーダが登場するドラマ」ではないということです。
映画を観ている人はボバ・フェットとヨーダの運命を知っているわけです。従って彼らを主役にしてしまったらどうしても映画との整合性をとるためにドラマの内容に制約がかかってしまう。そもそも映画の方ではボバ・フェットとヨーダは絡みませんから。
だからボバ・フェットのクールさをうけついだ、全く別設定のヒーローキャラ=マンドー、ヨーダの可愛さをもっと進化させた、全く別設定の癒しキャラ=ザ・チャイルドとしてファンの気持ちに応えつつ、自由な発想で(映画版に縛られ過ぎない)ドラマを作ることを可能にしたのです。
そしてこの『マンダロリアン』がウケたもう一つの理由は、映画版とは違うスター・ウォーズの魅力を再認識させてくれたことです。
まず前提として、僕は映画版のスター・ウォーズは大好きでどの作品も楽しんでいますが、映画版はもはやSFアクションではなく、どちらかというとファンタジーですよね。
特にライトセーバーやフォースは“剣と魔法”の関係だし出てくる不思議なキャラたちもエイリアンと妖精の中間みたいです。これはこれで「あり」なわけですが、やっぱり宇宙戦艦が飛び交ったり光線銃をうちあったりとSF的ガジェットがちりばめられた宇宙活劇としての面白さも期待したい。
今回の『マンダロリアン』は、様々な武器を仕込んだ宇宙の賞金稼ぎが主人公という時点で、まさに“宇宙アクションとしてのスター・ウォーズの楽しさ”に挑戦していると思うのです。
今回、『マンダロリアン』のフィギュアが早速リリースされると聞いて、大きくうなづきました。先ほど書いたように、『マンダロリアン』の主人公たちはもともとかっこいい&かわいい人気キャラを、さらにクールにキュートにリデザインしたわけであり、フィギュア向きなのです。特にスター・ウォーズの中でも、仮面ライダー×ガンダム的な要素を持つ『マンダロリアン』ですからまさにバンダイのキャラクタートイの魂を継ぐS.H.Figuartsで出すべきでしょう(笑)。
『マンダロリアン』のマンドーは最後の最後までヘルメットを脱ぎません(演じているのはペドロ・パスカルといういま人気上昇中の俳優)。従ってアクションやたたずまいでその感情を表現します。
今回発売される「S.H.Figuarts ザ・マンダロリアン(ベスカーアーマー) (STAR WARS:The Mandalorian)」は付属パーツも多く、ドラマの中でのマンドーの戦いっぷりをほぼほぼ再現することができます。それはつまりヘルメットの下に隠されたマンドーの気持ちも表現できるということです。自分が好きなマンドーのシーンをどう演出しようか楽しみです。
そしてザ・チャイルド! なんとマンドーとスケールをあわせてくれました。(ひょっとしてS.H.Figuarts史上最も小さいキャラ?)
単体でも可愛いですが、これはマンドーと組み合わせてドラマでのいいコンビっぷりをぜひ再現して欲しい。あるいはS.H.Figuartsのヨーダと並べて、フィギュアならではの遊びとして、おじいちゃんと孫を演出してもいいですね。
この2人は主役ですから商品化は当然ですが、この他に「重歩兵マンダロリアン」「アーマラー」も商品化。「重歩兵マンダロリアン」は3話「チャプター3:罪」に登場しますが、これぞマンダロリアンという重装備がうれしいです。マンドーが騎士なら、まさに重歩兵ですよね。このキャラ出番は少ないんですがかっこよさはダントツでした。
数々のロボット完成品フィギュアを手掛けてきたTAMASHII NATIONSだから実現できる銃火器パーツのクオリティ。
さらにアーマラー。マンダロリアンのアーマーを作る女性の職人です。ちゃんと工具がついていますよね。彼女はストームトルーパーたちをハンマーで撃退するという強さです。ストームトルーパーのフィギュアと一緒に飾ってあのシーンを再現しても楽しいですね。
女性ヒーローとしての美しさと、マンダロリアンとしてのかっこよさが両立したデザイン。
ハンマーや火箸、カムトノ、ベスカープレートなど、プレイバリューの高いセット内容になっている。
ダース・ベイダーやストームトルーパー、ジェダイの騎士、シスを集めて並べてる方も多いでしょうが、今回リリースされる4キャラと、もし以前にリリースされたボバ・フェットもあってそれらを並べたら、このマンダロリアン系も、スター・ウォーズ世界を代表するアイコンであるということがわかると思います。
『マンダロリアン』は10月30日からシーズン2も配信決定。さらに魅力的なキャラが登場すると言われているし、主人公のマンドーの装備もきっと変わるでしょうから『マンダロリアン』系のフィギュアもこれからどんどん増えていくと思います。
そもそもこのシリーズは『アイアンマン』の監督ジョン・ファヴローが手掛けていますからアイアンマンのアーマー並みにマンダロリアン・アーマーもバリエーション豊富になるかもです。
1977年(日本公開78年)に公開された『スター・ウォーズ』が、その後の映画業界やポップカルチャー全般、そしてオタク文化に与えて影響というのはあまりにも大きいです。その中の一つに映画の商品化というのがあります。
要は『スター・ウォーズ』以前に、映画に登場したキャラがグッズ化されるということはあまりなかったようです。つまりシネトイという観点からも『スター・ウォーズ』は大変重要な作品なのです。
すべてのシネトイの歴史は、スター・ウォーズの歴史とともにある、といっても過言ではありません。
今回の『マンダロリアン』アイテムもその歴史に残る逸品です。
Text: 杉山すぴ豊
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